五十嵐冷蔵株式会社は、冷蔵倉庫、食品販売、運輸業の3つの分野の事業を展開する総合物流企業であり、3分野を一体化した低温物流サービスを提供しています。特に冷蔵倉庫業界ではパイオニア的存在であり、現在は首都圏10か所に物流センターを設けております。
シーネットの音声認識システムは、外食チェーンの荷主様の常温品ピースピッキング・検品作業に導入され、月150,000件の出荷量の中で、105,000件が音声認識システムによって作業されています。音声認識システムが導入されてから半年後の効果と今後の展開をお伺いしました。

以前は荷主様のシステムから出力された紙のリストで作業をしていました。出荷作業はトータルピッキング → ルート仕分け → 店舗別ピッキングの三段階で行っていました。また、トータルピッキングとルート仕分けの後には検品作業も行い、ミス防止に努めて参りました。しかしながら、物量も多く人に頼った作業であったため、ゼロを目指していた出荷ミスは1/40,000で発生しており、さらなる物流品質の向上と作業効率向上のための方法を探していました。
さらに、荷主様の体制が変わり、週6日から7日の配送になることもきっかけとなり、ピッキングソリューションの導入を検討することになりました。

出荷ミスをなくし品質を向上させ、且つ作業効率も向上できるシステムであることを求めていました。また、商品知識がなくても誰でも同じように作業ができるユーザビリティの良いシステムであることも求めていました。

実は、荷主様が使用しているシステムがシーネットの在庫管理システムであり、また、五十嵐冷蔵でも以前、シーネットの物流システムを導入していました。そのため、シーネットが提供するシステムの品質やサポートの良さは体感していましたので、ピッキングソリューションに関してもシーネットに相談させて頂きました。音声認識システムに関しては以前から提案を受けており、実績やその効果、費用を十分検討させて頂いた上で、品質の向上や作業の効率化に効果的なソリューションであると判断し、導入を決定しました。

以前は1/40,000で出荷ミスが発生していましたが、音声認識システム導入後は、音声で作業をする商品の出荷ミスはゼロになりました。ピッキング作業では、音声による作業指示に対してバーコードスキャンによるチェックを行い、検品作業では声による数量入力にてデータとの照合を行っております。このような作業によって精度が高くなり、出荷ミスゼロを実現させることができました。出荷ミスがなくなるということは、店舗やドライバー、荷主様にかかっていたミス発生時の対応の負担軽減につながるため、荷主様からは非常に評価を頂いております。
また、個口毎に音声認識システムから内容明細書を発行することで、店舗での検品効率向上を狙い、今後、店舗でNO検品が実現できるように、倉庫側で高い作業精度と品質を維持していきたいです。

作業効率が向上し、導入前は1ピースあたり30.05秒かかっていた作業が、導入から半年が経過した直近の3ヶ月では21.34秒にまで短縮でき、約29％の効率化ができました。
音声認識システムの精度と効率を活かし、作業工程の見直しも行いました。トータルピッキング→店舗別ピッキングの二段階で、店舗別ピッキングの後に検品を行うという流れで作業を減らし（図１）、また、4店舗同時のマルチピッキングを行うことでさらに効率的な作業を実現させることができました。

音声認識システムの操作方法や作業方法は非常に単純でわかりやすく、以前のリスト作業に比べて作業員の負担が軽減されました。労働環境も良くなったと現場からは好評です。
更にピッキングリストを発行しないことにより、15万枚もの用紙を省資源化でき、トナー代も含めると35～40万円の省コスト化（何れも年間）が効果として期待されています。
又、不具合が生じて業務が止まる心配もしていましたが、シーネットから弊社情報システム部、及び現場に対する入念なカスタマイズ協力やアフターフォローにより、課題を共有し、一層の改善も進めて頂いていますので、安心して業務を行うことができています。

音声認識システムを導入したことで、お客様からは評価を頂いておりますし、従業員からも作業のし易さに好評を得ています。現在はピースピッキングと検品で音声認識システムを利用していますが、今後さらにお客様満足度や従業員満足度を高めるためにも、音声認識システムのメリットを十分に活かして、他の荷主様や他の作業への展開も検討していきたいと考えています。また、効率化は実現できましたが、週7日の配送になったことで全体として人員の削減にまでは至っていませんので、コストと人員の削減につながるような活用をしていければと思います。