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【連載コラム】倉庫業務マネジメント~つながる DX、WES の役割~第5章

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『倉庫業務総合研究会』の渡辺秀治氏による連載コラム、第5回は『業務事例によるWES適用についての提言」をお届けします。

 
<第1章 概要 はこちら>
<第2章 アクティビティの定義 はこちら>
<第3章 オペレーションマネジメントの詳細機能 はこちら>
<第4章 WESのアクティビティと連携情報 はこちら>
 

【第5回】業務事例によるWES適用についての提言

第5章 業務事例によるWES適用についての提言
倉庫業務マネジメントを実行するうえにおいて、WESの役割は、自動化されたマテハン設備との間で情報の分断を埋めて、指示発行を遅延なく、確実に行うことが必要です。
 
WESのアクティビティは、
 □作業予定の送信と実績の収集
 □機能(システム)間の連携機能
に大別されます。
 
WESの機能としても情報の分断が発生しないよう、共有すべき情報を明確にしておく必要があります。

  1. 1) AMR/マルチピッキングシステムとの連携
  2. 2) 配車計画システムとの連携
  3. 3) AGVの状態モニタリング
  4. 4) トラックローディングシステムとの連携
 

1) AMR/マルチピッキングシステムとの連携

①業務の範囲
・ピッキング棚に対象出荷便(1便分)の商品補充指示を行います。
・AMR1台ごとに商品の出荷引き当てを行います。(AMR1台当たり4出荷先)
・棚前にあるピッキングロボットにAMR1台ごとに指示を行います。
・AMRが棚前に到着しピッキングロボットが商品を取り出しAMRに収納します。
・AMRがすべてのピッキングを終えて、検品エリアに到着します。
・1出荷先ごとに商品画像を撮影し、オーダと照合します。
・梱包エリアに排出します。

図 18:AMR/マルチピッキングの業務の範囲

図 18:AMR/マルチピッキングの業務の範囲
 
② データフロー
図 19:AMR/マルチピッキングのデータフロー

図 19:AMR/マルチピッキングのデータフロー
 
③ システム構成
システム構成例として、「図 20:AMR/マルチピッキングのシステム構成例」に示す通り、WMSをクラウド型サービスとして、WESを拠点内に構築しています。
 
WMS/WES系ネットワークは、バッチ単位のファイル転送や画面単位の入力が行われることに対して、マテハン機器系ネットワークは、ミリ秒単位でデータの送受信が行われます。WESサーバーは、ゲートウェイとしての役割を兼ね備えて、拠点内の2系統のネットワークを分離します。
 
図 20:AMR/マルチピッキングのシステム構成例

図 20:AMR/マルチピッキングのシステム構成例
 
④ WESのアプリケーションの説明
■仕分けデータ抽出
受注および出荷指示にもとづいてWMSにて在庫引き当てされた商品について、1バッチ分のピッキング棚の補充データを作成します。
 
ピッキング棚システムでは、補充データを受信し、保管システムへ補充要求を送信します。
 
■バッチデータ抽出
仕分けデータを棚前に設置されたロボット1台分の作業指示に分解します。
ロボットへの作業指示データは、ロボットの機番、実行するAMRの機番、出荷先、取り出し棚番、取り出し数量、標準作業時間となります。
 
仕分けデータをAMR1台分の作業指示に分解します。
AMRへの作業指示データは、作業順番、作業場所(ロボットの機番)、AMRの機番、出荷先、出荷商品、出荷数量、標準作業時間となります。
 
バッチデータは、以下の通りAMRおよびロボットへデータ送信されます。
・作業対象の機番のAMRからのトリガー(次作業のための待機状態となったこと)により対象機番のAMRへ作業データ送信を行います。
・作業対象の機番のロボットからのトリガー(対象のAMRが棚前に到着したこと)により対象機番のロボットへ作業データ送信を行います。
 
■AIカメラデータ蓄積
検品エリアにAMRが到着した時点で、AIカメラにて商品データを撮影し、仕分けデータと紐づけを行います。
 
紐づけられたAIカメラデータは、WESに送信され、データ蓄積されます。
 
■実績データ収集
AMR、および、ロボットからの作業完了トリガー(仕分け作業が完了したこと)により、対象の機番のAMR、および、ロボットからWESはデータを収集し、仕分け実績データとします。
 
仕分け実績データは、一定単位で集計されWMSに送信されます。(WMSでは引き当て在庫を解除し、出荷実績として計上します。)
 
⑤ WESの常時実行処理
■在庫引き当てデータの受信監視
■AMR、および、ロボットのトリガー監視
■AIカメラデータの撮影データ受信監視
 

 

2)配車計画システムとの連携

① 業務の範囲
配車計画を行う際は、積載効率を高めて、最適な車両台数で業務実行します。ベテラン社員でも配車計画については、困難な作業であり、また、近年では、SKUの増加、EC取引の増加により、その複雑さは増している状況にあります。
WESは外部ソフトウェアとして配車計画システムを利用することがあります。
 

21 配車計画のトラック便のイメージ

図21 配車計画のトラック便のイメージ
 
(WESの主な機能)
・出荷情報を配車計画システムへ送信します。
・配車計画システムよりシミュレーション結果を受信します。
・WESにてトラックバースおよび出荷時刻を割り付けます。
・WESにて仕分け情報をバッチごとに分解します。
 
(配車計画システムでのシミュレーション例)
・出荷情報を行先ごと1商品1車満載で運搬できるオーダを抽出します。
・同一方面1商品1車満載で運搬できるオーダを抽出します。
・混載便の積載シミュレーションを実行し最適配車を計画します。
※そのほか、配車計画システムの個々の機能によるシミュレーションが実行されます。
 

② データフロー

図 22:配車計画のデータフロー

図 22:配車計画のデータフロー
 
③ システム構成図
図 23:配車計画のデータフロー

図 23:配車計画のデータフロー
 
④ WESのアプリケーションの説明
■出荷データ抽出
 受注および出荷指示にもとづいてWMSにて在庫引き当てされた商品について、データを抽出します。
 配車計画に必要な、マスター情報を付加して、配車計画システム用のデータをWESサーバー内のデータベースに配車計画実行前の出荷データを生成します。
 
(付加する主な情報)
 ・商品の荷姿
 ・荷姿ごとの寸法および重量
 ・入り数(ボール入り数、パレット積み付け数)
 ・品質関連情報(品温帯、段済み制約、混載制約)
 ・行先
 ・中継先
 ・路線便混載可否
 
■配車データの受信
 配車計画システムにてシミュレーションされた実行結果を確定し、WESが取得します。
 一定の条件(例えば積載率40%未満)の配車が計画されている場合は、受取日前倒し可能な商品の積載を再検討しデータを修正します。
 
■トラックバース割り付け
 配車情報に、トラックバースの割り付けを行います。
 
■仕分けスケジューリング
 トラックバースの割り付けされた商品データを、仕分けデータに集約および分解を行います。
    

⑤ 配車計画システムの制約情報
配車計画システムでは、表 5:配車計画システムの制約項目例に示す通り、さまざまな制約要因を考慮して最適配車計画を策定します。

表05 配車計画システムの制約項目例

表 5:配車計画システムの制約項目例

 

3)AGVの状態モニタリング

① システムの概要
AGVモニタリング機能は、AGVに取り付けられた通信ユニットから、エッジコンピュータが常時位置情報を収集します。
 
AGVの位置把握については、WCSまたは、AGVそのものの制御システムが現在位置を把握します。状態把握は、WESがWCSに送信した指示情報と紐づけすることにより、現在位置のほか行先、搭載した商品の情報について把握します。
 
AGVは、位置情報のほか、モーター回転の回転数や速度、衝突回避のために取り付けられたセンサーなどの情報をエッジコンピュータの情報収集に対して応答することができます。


図 24:AGV 状態モニタリングのシステム概要

② モニタリング画面のイメージ


図 25:AGV 状態モニタリング画面のイメージ
 
③ モニタリング機能
■全体画面

AGVシステムの全体状況を表示します。
 
■個別状態画面
AGV個々の号機の現在位置および、機器の状態、指示(商品、出荷数量等)および、その実行状態を表示します。
 
■作業別一覧画面
作業指示別に、「実行中」「実行待ち」「実行完了」等の状態とともに、指示(商品、出荷数量等)の情報および、その実行状態を一覧表示します。

 

 

4)トラックローディングシステムとの連携

① システムのイメージ


図26  トラックローディングシステム
 
② 業務の範囲
・自動倉庫からパレット単位で商品を出庫します。
・出庫したデータをWESが受信し、トラックローディングシステムに送信します。
・1車分の商品が揃えば、荷積み作業を開始(実行)します。
 
③ データフロー

図27 トラックローディングシステムのデータフロー
 
④ システム構成図
システム構成例として、「図 28:トラックローディングシステムの構成例」に示す通り、WMSをクラウド型サービスとして、WESを拠点内に構築しています。
 
WES/マテハン機器系ネットワークは、バッチ単位のファイル転送および、マテハン機器間でのデータ通信が頻繁に、かつ高速(ミリ秒単位)で行われます。WESサーバーは、ゲートウェイとしての役割を兼ね備えて、拠点内の2系統のネットワークを分離します。
図 28:トラックローディングシステムの構成例

図 28:トラックローディングシステムの構成例
 
<次頁を読む>終章
 

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